p.1 | 公開日:2026/8/21
1. はじめに
<p>マクスウェルの方程式は、19世紀のうちに電場と磁場を統一的に記述する理論として完成されましたが、その方程式が全ての慣性系で同じ形を保つためには、ガリレイ変換ではなくローレンツ変換のもとでの不変性が必要であることが、後にアインシュタインによって明らかにされました。
すなわち、電磁気学はもともと相対論的な理論だったのであり、特殊相対論は電磁気学の要請から自然に生まれてきたと言えます。</p>
<p>一方、電磁ポテンシャル$\mathbf{A},\phi$の取り方には、場の量$\mathbf{E},\mathbf{B}$を変えないゲージ変換のもとでの不定性が残されています。
そのため電磁気学は、ゲージ対称性とローレンツ対称性の2種類の対称性を同時に満たす理論として定式化されます。</p>
<p>本ノートの主題は、この2つの対称性がどのように電磁気学に組み込まれているかを確認し、最終的にそれらと矛盾しない形で電磁場のラグランジアン密度を構成することにあります。</p>
<p>構成は次の通りです。
第2章では、古典電磁気学のマクスウェルの方程式を導入したうえで、ゲージ対称性を確認します。
第3章と第4章では、ゲージ対称性を固定する代表的な2つの方法として、クーロンゲージとローレンツゲージをそれぞれ詳しくみていきます。あわせて第3章では光速$c$を定義し、光が電磁波の一種であることを議論します。
第5章では、これを特殊相対論の枠組みに置き直し、4元ポテンシャル$A^\mu$がローレンツ変換のもとでどのように振る舞うかを見ます。</p>
<p>これらの準備のもとで、第6章ではマクスウェルの方程式を4元ベクトルによる明白にローレンツ共変な形に書き直します。
第7章では電磁場の古典的なラグランジアン密度を構成し、オイラー・ラグランジュ方程式からマクスウェルの方程式が再現されること、電荷保存則が場の方程式の無矛盾性から要請されること、そしてゲージ不変性が電磁場の質量項を禁止することを示します。
第8章で全体をまとめます。</p>
<p>本ノートでは一貫してSI単位系を用います。</p>
<p>また本ノートでは主に[<a href="#cite-1" class="latex-cite-link">1</a>]を参考にしています。
この記事で詳細な部分や気になる点など興味を持たれましたらご一読ください。</p>